2007 Fiscal Year Annual Research Report
セル電圧均等化回路を用いた蓄電モジュールの劣化解析
Project/Area Number |
19760207
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
鵜野 将年 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 研究員 (70443281)
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Keywords | 均等化回路 / バランス回路 / リチウムイオン電池 / 充放電 / 電荷移動抵抗 / 電気二重層容量 |
Research Abstract |
直列接続された蓄電デバイス(Liイオン電池やキャパシタ)の充放電状態のばらつきを防止するために均等化回路が用いられる。均等化回路を用いることにより各蓄電デバイス間で高周波にて過不足分の電荷のやり取りが行われるため,各蓄電デバイスは浅く高頻度な充放電サイクルを繰り返すことになる。このような浅く高頻度な充放電サイクルをLiイオン二次電池に対して1Hz〜100kHzの周波数領域において実施し,劣化傾向を調査した。 充放電サイクル実験の結果,1KHz以上の高い周波数領域では電池の劣化率は低く,経年劣化分のみの劣化が確認された。その一方で,100Hz以下の低い周波数領域においては比較的大きな劣化を示す傾向が確認された。 一般的に電池における電極-電解液界面領域のインピーダンスは電気二重層容量と電荷移動抵抗の並列CR回路で等価的に表される。充放電の際に電気二重層容量に流れる電流分は化学反応には寄与しない一方で,電荷移動抵抗を流れる電流分は化学反応に直接寄与するものであるため,電池の劣化となり得るものである。等価回路を用いたシミュレーション解析の結果,1KHz以上の高い周波数領域においては,電気二重層容量を流れる電流分が支配的であったのに対して,100Hz以下の低い周波数領域においては電荷移動抵抗を流れる電流分が支配的であったため劣化率が大きかったものと考えられる。 均等化回路の機能は電池の充放電状態を揃えて長寿命化を図ることであるため,均等化回路自身が電池を劣化させることがあってはならない。ここで得られた結果は,電池の長寿命化の観点において均等化回路には適切な動作周波数領域が存在することを意味しており,今後の均等価回路設計に反映できるものと考えられる。 今後は実験結果の再現性を確認すると共に,電池内部の劣化機構についても詳細に調査を行う予定である。
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