2008 Fiscal Year Annual Research Report
セル電圧均等化回路を用いた蓄電モジュールの劣化解析
Project/Area Number |
19760207
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
鵜野 将年 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 研究員 (70443281)
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Keywords | 均等化回路 / バランス回路 / リチウムイオン電池 / 充放電 / 電荷移動抵抗 / 電気二重層容量 / 劣化 |
Research Abstract |
直列接続された蓄電デバイス(Liイオン電池や電気二重層キャパシタ等)の充放電状態のばらつきを防止するために均等化回路が用いられる。均等化回路を用いることにより各蓄電デバイス間で高周波にて過不足分の電荷のやり取りが行われるため、各蓄電デバイスは高周波の充放電サイクルを経ることになる。 均等化回路使用時に想定される高周波充放電サイクルをLiイオン二次電池に対して平均電圧が4.2Vもしくは3.8Vの条件の下、1Hz-100kHzの周波数鎮域において実施した。その結果、いずれの平均電圧においても100Hz以上の高い周波数領域においては電気二重層容量を流れる電流が支配的となり劣化は小さく抑えられる一方で、10Hz以下の低い周波数領域においては電荷移動抵抗を流れる電流が支配的となり劣化率が大きくなることを明らかにした。 電池の交流インピーダンス測定から得られた各種のパラメータを元に等価回路モデルを作成し、高周波充放電シミュレーションを実施レた。その結果、電池のカソード側のインピーダンスは約10Hz付近に時定数を有しており、カソードにおける電気二重層容量-電荷移動抵抗の電流分布特性も電池の劣化率と相関があることから、高周波充放電サイクルにおける劣化は主にカソード側で起こっていることが示唆された。 充放電電流によるジュール熱や充放電反応によるエントロピー変化に伴う吸発熱が電池の劣化に影響することが考えられる。高周波充放電サイクル時における電池温度の測定結果から、熱による劣化分は無視しうる程度であり、主な劣化要因は上記の充放電サイクルであることが示された。 均等化回路の機能は電池の充放電状態を揃えて長寿命化を図ることであるため、均等化回路自身が電池を劣化させることがあってはならない。ここで得られた結果は、電池の長寿命化の観点において均等化回路には適切な動作周波数領域が存在することを意味しており、今後の均等価回路設計に反映できるものと考えられる。
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