2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760209
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大野 宗一 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 助教 (30431331)
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Keywords | スピントロニクス / Fe / III-V半導体 / CALPHAD法 / 状態図 / 第一原理計算 / 標準生成エネルギー / Fe-As化合物 / 界面反応 |
Research Abstract |
本研究では,スピントロニクスデバイスのFe/半導体界面において形成される化合物を同定・予測するとともに,プロセス条件最適化の指針を示すことを目的として,スピンデバイス実現化の有力候補とされる系であるAl-As-Ga-Fe-In系のCALPHADモデリング及び熱力学計算を遂行する.CALPHADモデリングでは,二元系の熱力学計算をベースとして多元系に拡張していくことになるが,本年度においてはFe-As二元系のCALPHADモデリングを遂行した. Fe-As二元系においては,4種類の中間化合物が存在し,これらの中でも室温まで安定なFe_2As,FeAs及びFeAs_2相の形成エネルギーを極めて高精度に求めることが,CALPHADモデリング,そしてFe/半導体界面における化合物の安定性を議論する上で必要となる.そこで,本研究ではこれらの化合物の形成エネルギーをProjector Augmented Wave(PAW)法に基づく第一原理エネルギー計算から算出した.本計算は,実験で観察されている相平衡を矛盾無く予測し,特に本系の相安定においては化合物の有する磁性が極めて重要な役割を果たしていることを示した.また,零点振動の効果を考慮することよって,AsFe_2が0Kの基底状態では,安定相として存在し得ない可能性が示唆され,本系のエネルギーを議論する際には格子振動エネルギーの効果が無視できないことを示した.そして,この第一原理エネルギー計算の結果をCALPHADモデリングに用いることで,Fe-As二元系の相平衡を精度よく記述することに成功し,以上の内容を学術論文誌Journal of Crystal Growthにて発表した.
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Research Products
(2 results)