2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノプローブによるTOF-ERDA軽元素分析技術の開発
Project/Area Number |
19760217
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿保 智 Osaka University, 極限量子科学研究センター, 助教 (60379310)
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Keywords | TOF-ERDA / ナノイオンビーム / 軽元素分析 |
Research Abstract |
平成19年度には、、Time-of-FlightElasticRecoilDetectionAnalysis(TOF-ERDA:飛行時間分析型弾性反跳粒子検出法)で検出器に用いるMicroChannelPlate(MCP)の現有イオンビーム装置への取り付け、飛行時間計測系の構築および構築した計測系の基礎特性評価を行った。MCPは通常のERDAで用いるSolidStateDetector(SSD:半導体検出器)と比較し大口径であるため、収量の増加という利点と共に反跳角が広がりを持つため時間分解能(エネルギー分解能)が低下するという欠点の原因ともなっている。そこで、取り付け前に収量と分解能の関係について計算を行い、両者が許容可能な最適スリット幅を求め、MCP入射面を制限するスリット取り付けを行った。 基礎特性評価として150keVSi^+ビームを用いて5分間のB注入試料TOF-ERDA計測を行ったところ、BとSi基板からの反跳粒子による2つのピーク検出に成功し、計測系が正しく動作していることがわかった。また、Siピークでの収量比較では平行して開発を行っているTOF-RBS(RutherfordBackscatteringSpectrometry:ラザフォード後方散乱法)と比較して2桁程度高い結果となり、ERDAが高収量の計測法である事を示している。しかし、TOF-ERDA計測のスタートトリガにはビームが試料に入射した際に発生する二次電子を用いているため、検出器までの二次電子の飛行経路の違いに起因する飛行時間差が発生しており、分解能の低下が発生していた。これは、TOF-RBS計測でも時間分解能低下の原因となっており、二次電子検出器の構造変更を含めて、来年度での改善が必要となっている。
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