2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760218
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小島 磨 Kobe University, 工学研究科, 助教 (00415845)
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Keywords | 閉じ込め励起子 / 非線形光学応答 / 超高速応答 / 半導体薄膜 |
Research Abstract |
半導体薄膜中に閉じ込められた励起子の光学非線形性に基づいた超高速光デバイスを実現するために、励起光パルスを制御することで、励起子の光学非線形効果と応答速度を制御することを目的に研究を行なっている。本研究では、薄膜の膜厚を100 nm程度として、励起子を弱く閉じ込めることで、量子井戸構造などよりも非常に大きな非線形光学応答が得られる現象(非局所誘起エネルギー・サイズ二重共鳴効果)に注目している。膜厚110 nmのGaAs薄膜を試料として、縮退四光波混合(Degenerate Four Wave Mixing, DFWM)法および反射型ポンプ・プローブ法により、閉じ込め励起子の緩和特性を測定するし、光応答特性を評価した。 非線形光学応答を評価するために、超短パルスレーザーのスペクトル幅を変えながら、DFWM信号測定を行った。その場合に、時間領域でパルス幅程度の超高速応答を得られることが、前年度に見出されていたが、レーザーの中心エネルギーを変えることで、複数の励起子準位からの応答が重ね合わされるためにDFWM信号強度が強くなること、また、パルス幅が変わらないにもかかわらず、よりエネルギー差の大きい励起子準位間の干渉効果が重畳するようになるため、超高速応答が得られるようになることを明らかにした。本研究は、高い評価を得て、日本物理学会発行の英文誌Journal of the Physical Society of Japanにおいて注目論文に選ばれた。 また、フェムト秒時間領域における励起子の挙動を明らかにすることを目的に、反射型ポンプ・プローブ法による励起子応答測定を行った。その結果、パルス幅100フェムト秒程度の超短パルスを用いているにもかかわらず、数ピコ秒にも渡る信号の立ち上がりが存在することが見出された。この遅い立ち上がりは、励起子-ポラリトンの伝播に起因していると考えられ、来年度は、詳細な実験を行なっていく予定である。
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