2007 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界流体を反応場とした結晶質酸化物薄膜の低温堆積
Project/Area Number |
19760222
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
内田 寛 Sophia University, 上智大学・理工学部, 助教 (60327880)
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Keywords | 超臨界流体 / 薄膜 / 酸化物 / 二酸化炭素 / 半導体デバイス / シリコンウェハー / 金属板 |
Research Abstract |
薄膜堆積の原料として使用する有機金属化合物の超臨界CO_2流体における分解→結晶化挙動を調査した。一例としてTi含有有機金属化合物の分解および結晶化挙動を調べた結果、Ti(O・i-C_3H_7)_2(C_<11>H_<19>O_2)_2のようなβ-ジケトン錯体は流体温度約100℃以上、Ti(O・C_5H_<11>)_4のような金属アルコキシドは分解して結晶質酸化チタンTiO_2(anatase)を形成することが分かった。これらに対して過酸化水素水H_2O_2や水H_2Oなどの助剤を添加することで上述条件よりも更に低温で分解・結晶化が進行することを確認した。これらの助剤添加は材料表面上への炭酸基の吸着をあわせて促進するため、実際の工業的材料合成への応用を検討する際には本課題の解決が必須であると判断される。 薄膜堆積の支持基板として使用する固体物質の超臨界CO_2流体における安定性を調査した。基板材料として応用が検討される固体物質(Siウェハ、Pt,Cu,AlおよびSUS金属板)のシート状成形材料を超臨界CO_2流体中に保持し、その物質変化を調査した結果、温度300℃以下の条件下ではいずれの基板物質も大きな形態変化を生じず、流体との相互作用による副生成物の形成などは認められなかった。しかしながら、H_2O_2やH_2Oなどの助剤添加時には、先述のTi-O系反応生成物と同様、一部材料の基板表面に炭酸基吸着物や炭酸塩の形成が確認され、材料物性のみならず研磨表面の曇り等の外見上の変化にもそれらの影響が反映された。これらの結果より、助剤添加による酸化物の形成反応の促進は副生成物の発生とトレードオフの関係にあるため、目的とする結晶質酸化物を効率良く得るためには助剤添加量の調整などによる対応が必要と判断される。
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