2008 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界流体を反応場とした結晶質酸化物薄膜の低温堆積
Project/Area Number |
19760222
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
内田 寛 Sophia University, 理工学部, 助教 (60327880)
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Keywords | 超臨界流体 / 薄膜 / 酸化物 / 二酸化炭素 / 半導体デバイス / シリコンウェハー / 有機金属化合物 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、薄膜堆積の支持基板として使用する固体物質の超臨界CO_2流体における安定性を調査した。基板材料として応用が検討される高分子系固体物質のシート状成形材料を超臨界CO_2流体中に保持し、その物質変化を調査した。その結果、比較的耐熱性に優れるナイロン系基板材料において最大約200℃付近まで外観形態の安定性が維持されたが。その基板最表面では材料分解に由来するC-C結合の増大ならびに変色が確認された。これらの変化は熱的作用による化合物の分解に由来するものであり、超臨界CO_2流体の作用による膨潤や化学的分解の作用とは異なるものであると予想される。ゆえに、超臨界CO_2流体を利用した材料堆積反応において、上述の温度範囲では流体自身の副次的な作用を伴うことなく材料合成を行なうことができるものと推察する。 耐熱性に乏しい基板上での材料合成のモデルケースとして、ソーダガラス基板上での酸化チタンTiO_2薄膜堆積に関する実験を行なった。従来の加熱処理 (約400℃〜) に基づく薄膜堆積では効率的に結晶質TiO_2薄膜が作製される反面、ソーダガラス基板よりNaやSiに対応する成分元素がTiO_2薄膜へと拡散し、薄膜材料の光学特性 (光吸収、バンドギャップエネルギー) の変化を引き起こした。対して超臨界CO_2流体を利用した低温での材料合成プロセス (最高300℃) では、主としてSi成分の拡散が大幅に抑制され、TiO_2 (anatase) 結晶の本質的物性に近い材料物性を得ることに成功した。超臨界CO_2流体の利用による有機金属化合物の分解反応促進 (平成19年度成果) は材料合成プロセスの熱処理温度を有意に低下させることで基板材料自身の劣化や薄膜-基板間の相互拡散を抑制したものと判断される。
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