2007 Fiscal Year Annual Research Report
表面再構成制御成長法によるSi上InSb量子井戸作成とその超高速FETへの応用
Project/Area Number |
19760233
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
森 雅之 University of Toyama, 理工学研究部, 助教 (90303213)
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Keywords | InSb / ヘテロエピタキシャル / Si / リソグラフィー / ラインアンドスペース / KOH |
Research Abstract |
In誘起表面再構成構造上にSb原子を1原子層(ML)吸着させることによりInSb(2×2)構造(InSb単分子層)形成され、この上にIhSb薄膜を堆積させると、Si基板に対して30°回転して成長する。30°回転することにより、SiとInSbとの間の約19.3%もの大きな格子不整合が見かけ上約3.3%にまで緩和され、結晶性の良い膜が得られる。しかし、これまでに用いてきた4×1-Inや√3×√3-In表面相ではInの被覆量が少ないため、基板表面全体をInSb単分子層で覆うことができず、回転しない結晶も混在していた。そこで今年度は、In被覆量の多いSi(111)-2×2-In及び√7×√3-In表面相を用いたInSb薄膜のへテロエピタキシャル成長に関する研究を行った。 2×2-In及び√7×√3-InのIn被覆量はそれぞれ0.75MLと1.2MLである。本来、0.75MLのIn原子があればInSb単分子層で基板表面全体を覆うことができるはずである。しかし、In表面再構成上へSb原子を吸着させた際にSi-In結合がSi-Sb結合に置き換わり、置換されたIn原子はSb上に現れる。この際、一部のIn原子は基板表面から脱離してしまうため、2×1-Sb再構成が形成される。この2×1-Sb再構成上ではInSb薄膜は回転しないため、0.75MLのIn被覆量を持った2×2-In再構成を介して作製したInSb単分子上のInSb薄膜は、回転しない結晶も含まれていた。しかし、√7×√3-In再構成を介して作製したInSb単分子層上のInSb薄膜の場合は、完全にSi基板に対して30°回転したInSb薄膜が得られた。これは、過剰なIn原子がSbとの置換反応によって脱離するIn原子を補う形で、2×1-Sb再構成によって覆われた領域を減少させたためである。 上述のIn誘起表面再構成構造を用いた高品質薄膜の成長法は、現時点ではSi(111)基板上でのみ有効である。しかし、現代の半導体産業で使用されているのは(001)基板であり、また大面積のSi(111)基板はないため、我々の技術をデバイスメーカーに利用してもらうことを考えると、Si(001)基板を用いる必要がある。このため、リソグラフィー技術とKOHエッチング処理によりSi(001)基板上に(111)面を形成し、この(111)面に対して上述の成長法を利用できないか検討した。今年度はまず、KOHエッチングによるラインアンドスペース(LS)構造作製の条件出しを行った。
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Research Products
(9 results)