2007 Fiscal Year Annual Research Report
固体伝送線路を用いた広帯域テラヘルツ分光チップの高機能化に関する研究
Project/Area Number |
19760236
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北川 二郎 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 助教 (90346528)
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Keywords | テラヘルツ / マイクロストリップ / コプレーナストリップ / ITO / 分光チップ |
Research Abstract |
1.マイクロストリップ線路(MSL)型THz分光チップでは伝送線路の特性も含んだ実効的な複素光学定数が得られる.そこで, MSL型分光チップの更なる性能評価として,複素光学定数の絶対値を得ることができるTHz-ATR分光装置との比較を行った.その結果,吸収係数と屈折率に対して独立なスケール因子を導入することで, MSL型分光チップでも光学定数の絶対値を得ることが可能であると明らかになった.またATR法で測定が困難な低周波領域でも精度良くデータを得ることができ, MSL型分光チップでは低周波領域でもTHz波の電磁界の閉じ込めが有効に働いていると推測される. 2.高周波スパッタ装置やアニール装置を改良し,基板温度を400℃でITOの成膜ができ,アニールを400℃・1時間で行え右ようにした.成膜条件を基板温度400℃,酸素分圧0%にすることでITOの導電率が6×103 Ω-1cm-1まで向上することを見出した.そこで,導電率が6×10^3Ω^<-l>cm^<-1>のITOをグランド面にしたMSLが分光チップとして機能するか,実際に素子を作製して調べた.その結果分光チップのS/N比の向上が期待できる結果を得た.また,水を分光測定し分光チップとしても機能を果たすことを確かめた. 3.コプレーナ(CPS)線路における放射損失を抑えるため,低誘電率基板を用いることを試みた.具体的には,1〜3THzの比誘電率が2.3である低誘電率プラスチック(シクロオレフィン)基板上にCPS線路を作製するプロセス技術を他に先駆けて立ち上げ,放射損失の低減に伴いTHz波伝搬特性が改善され,広帯域分光が可能となるか調べた.実験で求めた伝搬定数からは低分散・低損失が実現していることがわかった.従って,シクロオレフィン基板を用いることで放射損失の影響を抑制し,伝搬特性が広い周数域にわたっ七向上することを明らかにした.また,ビタミンの一種D-ビオチン粉末をシクロオレフィン基板上CPS型分光チップで測定し,2 THzを超える広帯域分光にも成功した.
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