2008 Fiscal Year Annual Research Report
状態方程式上の周波数変換を用いた高精度アナログ・ディジタルフィルタの実現理論
Project/Area Number |
19760245
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
越田 俊介 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (70431533)
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Keywords | 線形システム理論 / 情報通信工学 / 制御工学 / フィルタ / 状態方程式 / 周波数変換 |
Research Abstract |
平成20年度は, 高精度アナログフィルタおよび高精度ディジタルフィルタを簡易的に設計・実現するための新しい理論を確立することを目的として研究を行った. 研究実績の詳細は下記の通りである. 1. 高精度ディジタルフィルタの構造を維持したまま周波数特性を変更することの可能な「グラミアン保存周波数変換」の実現理論を確立した. また, この理論をディジタル回路上で実現するための統一的手法を確立した. グラミアン保存周波数変換を実現するためには, 周波数変換の実現時に用いる全域通過関数の構造を平衡形として実現する必要がある. 平衡形を実現するための手法には行列の相似変換がよく用いられるが, この方法によって得られる構造では多くの乗算器および加算器が必要とされるため, 実用的とはいえない. そこで本研究では, グラミアン保存周波数変換をディジタル回路上で容易に実現するための手法として, 全域通過関数の正規化ラティス構造を用いる手法を提案した. 提案法は, グラミアン保存周波数変換の実現を簡単化するとともに, 変換後のディジタルフィルタを少ない乗算器・加算器で実現できるという利点がある. 2. 上述のグラミアン保存周波数変換の理論は, ディジタルフィルタだけでなくアナログフィルタにも適応可能である. 平成20年度の研究では, このグラミアン保存周波数変換をアナログ回路上で実現するための手法を確立した. 具体的には, アナログ回路上でグラミアン保存周波数変換を実現する手法として, スケーリングされたリアクタンス関数に基づく回路合成法を導出した. 以上の研究成果により, 周波数選択性アナログ・ディジタルフィルタを低コストかつ高い精度のもとで設計・実現することが可能となった.
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Research Products
(3 results)