2008 Fiscal Year Annual Research Report
揺動外力による非線形ダイナミカルシステムの同期と制御
Project/Area Number |
19760253
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中尾 裕也 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (40344048)
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Keywords | 非線形振動 / 同期現象 / 自己組織化 / 統計力学 / 数理工学 |
Research Abstract |
標記の研究テーマについて、今年度は主に理論的枠組の拡張に重点をおいた。特に、揺動外力としてランダムなインパルス列を与えた非結合リミットサイクル振動子系を詳細に解析して、共通インパルスにより振動子集団に同期、脱同期、およびクラスタリング現象等を生じることを、理論、数値計算、電気回路実験により明らかにした。また、系の大域的な挙動を説明するために、インパルスを受けたリミットサイクル系の位相の確率密度を記述するFrobenius-Perron方程式に対して平均化法を適用することにより、位相問の定量的関係を直接明らかにできる理論を発展させた。この理論的枠組みにより、振動子の位相応答に関する情報から、同期、脱同期のみならず、より一般に揺動外力により振動子間に誘起されるコヒーレンス現象を定量的に説明できるようになった。また、集団レベルでの揺動外力による同期現象の解析を発展させた。集団レベルの同期現象を記述するためには、個別の振動子レベルの位相応答関数ではなく、集団レベルの位相応答関数をとえる必要があるが、実際にそれが定義可能であり、解析的な表式を得ることができることを明らかにし、これを取り扱うための理論的枠組みを発展させた。さらに、以前理論的取り扱いを発展させたランダム電信信号による非結合振動子の同期現象に関する電気回路実験を行い、理論的予想を実験で定量的に確認した。その他、ネットワーク上の力学系等の研究も行った。得られた研究成果は国内/国外における各種の研究会や学会および学術論文誌にて発表した。
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Research Products
(5 results)