Research Abstract |
光ネットワーク上でグリッドコンピューティング環境を提供する光グリッドでは, 計算機資源間を光パスで接続してグリッドジョブを超高速伝送し, 大容量ジョブの高速処理を実現する.光グリッドで複数ユーザが効率よくジョブを実行するには, 計算機資源だけでなく光ネットワーク内の波長資源も有効利用することが必要不可欠である.しかしながら, 従来研究では両資源を独立に管理するため, 結果としてどちらかの資源が高速グリッド処理のボトルネックとなってしまう.それゆえ, 高性能な光グリッド環境を構築するには, 両資源を協調管理して有効利用することが重要となる.そこで本研究では, 制御工学で近年注目されているハイブリッド制御を光グリッドに導入し, ジョブ伝送量を変動させるコントローラと、光パスの動的設定/解放を処理するコントローラの高度な連携を目指す.前年の19年度には, 制御理論の効果を調査するためにPID制御を用いた資源管理方式を提案し, シミュレーションによりその有効性を示した。その結果を受けて, 今年度はPIDを用いた方式を拡張してハイブリッド制御(モデル予測制御)を用いた資源管理方式を提案した.本方式では, 計算機内バッファと光パス設定/解放処理を数理モデルで表現し, モデル予測制御によって将来の未処理ジョブ量と使用波長数を予測しながら, ジョブ伝送量の決定と光パス設定/解放処理を実行する.これにより, 計算機資源と波長資源の有効利用を実現する.本方式の性能をシミュレーションで評価し, 様々な環境下で有効性を確認した.数値結果から, ハイブリッド制御を資源管理に用いることで, 多数のユーザが両資源を有効利用できることが判明した.さらに, PID制御を用いた先行研究よりもグリッド計算資源と波長資源の両者を有効利用できることが分かった.以上のことから, ハイブリッド制御を用いた資源管理方式は光グリッド環境で有効であり, 今後の利用が期待される.
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