2007 Fiscal Year Annual Research Report
非線形振動回路のネットワークを用いた時系列データの分析と予測
Project/Area Number |
19760270
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
山内 将行 Hiroshima Institute of Technology, 工学部, 講師 (40384169)
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Keywords | ネットワーク型発振器 / データマイニング / 同期現象 / 時系列データ |
Research Abstract |
本研究では、自然界に見られる、複雑で多種多様な時系列データを非線形発振器などで構成されたネットワークを用いて予測を行うことが最終的な目的である。スパイラルインダクタを用いたコルピッツ発振器をスパイラルインダクタ間に発生する相互インダクタンスで結合したシステムにおいて、スパイラルインダクタ間の距離や重なる角度を変化させるなどにより、比較的非線形性の高い波形の合成を行った。さらに、実際に回路を作成しやすいと考えられるファン・デル・ポール発振器をインダクタで格子状に結合したネットワークを用いて任意の波形を合成し、予測を行った。すなわち、まだ精度面や学習方式などで問題を多く含むが、動的なシステムで時系列データを合成し、予測するシステムの開発に成功したと言える。さらに、本システムに発生する新たな性質や現象の確認もできた。特に、後者のネットワークを用いた任意の波形を合成する手法は、過去の波形から未来の波形を予測する手法である。簡単に説明すると以下のようになる。例えば、0〜2Tの時間が過去であるとし、2T〜3Tの未来を予測したいとする。まず、0〜Tの時系列データを入力するとT〜2Tの時系列データが出力されるように各パラメータを学習し、T〜2Tの時系列データを入力することによって、2T〜3Tの未来を予測する。本手法では、個々の発振器が安定して発振する必要はなく、ネットワーク全体で発振すれば良いため、各パラメータをほぼ自由に選択することが可能となり、学習時の制限が少なくなる。すなわち、学習に時間はかかるが任意の波形を合成しやすくなると考えられる。試験データに、合成及び予測がしやすく自然に存在する時系列データに近いと考えられる、正弦波に近いシングルスクロールアトラクタを持つカオス時系列データを適用して、短い時間ではあるが、元のカオス波形に近い波形を合成することに成功し、予測を行うことができた。
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