2009 Fiscal Year Annual Research Report
環上のシステムに対するMPUM理論の構築:Kernel表現アプローチ
Project/Area Number |
19760286
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
金子 修 Kanazawa University, 電子情報学系, 准教授 (00314394)
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Keywords | 環上システム / MPUM / Kernel表現 / 制御仕様 / 正準制御器 / 多次元システム / ビヘイビア |
Research Abstract |
本年度は以下の事項を明らかにした。 1. まず,昨年に引き続き,環上のシステムの代表格である多次元システムを1次元システムで制御する際の問題に取り組んだ。とくに,温度系や振動系など偏微分方程式で表現されるシステムで,この得られた結果がどのように活用できるかについて,例題を用いて詳しく考察した。具体的な物理現象を用いて,このような制御可能性の検討を行ったことは,実在する物理システムへの適用可能性を示したという意味で大変重要である。 2. 2009年9月に,Groningen大学のH.L. Trentelman教授のもとで滞在する機会を得て,2次元の離散時間システムを1次元離散時間制御器で制御可能であるためのいくつかの条件を考察した。その結果,2次元システムのKernel表現を(空間軸変数の)多項式係数をもつ(時間軸変数の)多項式環に(多項式環上係数をもつ多項式)より誘導する手法を提案し,さらに,それをベースとして1D可制御性という概念を発案した。分布特性に代表される環上のシステムを,実際の計測データにより考察する際には,離散時間システムで構築しなければならず,その意味で,離散時間で考究をしだことは計算機等の援用の基礎を得たという意味で重要である。 3. Kernel表現を用いることで,制御仕様を確実に達成する正準制御器のうちで安定化制御器のパラメトリゼーションを得た。ここでの結果は1次元であるが,より一般の多次元システム(一般の環上システム)へも拡張が期待され,MPUMとCMCUMの関連づけるパラメトリゼーションにもなりうるので(あるクラスのKernel表現の場合),本科研の主題の大きな基礎的な結果の一つでもある。 4. 多項式で表現される非線形なシステムのモデル化を,MPUMで使われる非反証性を応用することで可能にする手法を提案した。
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