Research Abstract |
従来,変数誤差モデルの同定問題において,入出力観測雑音は白色雑音として扱われることが多く,また,その同定アルゴリズムの多くはオフライン形式である。そのため,観測雑音が有色雑音,非線形誤差,量子化誤差,複数の観測雑音が混入する場合など様々な雑音環境下や実時間処理が求められる実問題での適用は難しいと考えられる。このような背景のもと,本研究では,様々な雑音環境下および実時間処理で適用できるような逐次計算アルゴリズムを用いた変数誤差モデルの同定法を開発し,その応用面での検討を行うことを目的とし研究を行った。具体的には,1)バイアス補償法の検討・様々な雑音環境下への拡張,2)変数誤差モデル同定アルゴリズムの検討・逐次計算アルゴリズム開発,3)実問題への応用検討,を行っており,特に今年度の成果は以下に示す通りである。 ■ 入出力観測値に量子化誤差が含まれる場合について考え,「バイアス補償補助変数タイプアルゴリズム」の拡張を行った。また,逐次計算アルゴリズムを導出し,数値シミュレーションによりその有効性を示した。 ■ サンプル値データから連続時間変数誤差モデルを直接同定する問題を考え,「バイアス補償最小2乗法」の連続時間系への拡張を行った。また,逐次計算アルゴリズムを導出し,数値シミュレーションによりその有効性を示した。 ■ 変数誤差モデル同定法として,式誤差の相関関数の最小化に基づき導出される,「最小相関法」について検討を行った。より安定な推定値を得るため,「プレフィルタを用いた手法」および「拡大ベクトルを用いる手法」を提案した。また,これらの逐次計算アルゴリズムを導出し,数値シミュレーションによりこれらの有効性を示した。 ■ Matlab/SimulinkのxPC Targetを用いて計測・制御実験環境を構築し,実データに対して提案したアルゴリズムの有効性を検証した。
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