Research Abstract |
平成19年度では,これまで現地斜面に設置してきた現地モニタリングシステム(テンシオメータ,雨量計,温度計で構成)に,蒸発量の算定に必要な気象計測装置(気温,相対湿度,露点温度,降雨量,気圧,日射量,風向,風速計で構成)を導入し,計測を実施した。また,得られた計測データを分析することにより,間隙水圧などの各種データと雨量の関係について,分析・評価を行った。分析として,重回帰分析を行うことで,地表面変位に対する間隙水圧の影響について明らかにした。 また,数値シミュレーションの妥当性の検討を行うために,盛土を作成し,降雨条件や盛土形状を変えた複数回の室内土槽試験を実施した。特に,降雨時の斜面崩壊のメカニズムを明らかにするために,盛土に人工的なすべり面を作成して実験を行い,すべり面付近が湿潤したときに崩壊が生じる現象を表現することができた。 さらに,数値シミュレーションにおいて,蒸発を考慮した2次元不飽和浸透解析の精度向上を目指し,プログラムの改良を行った。室内土槽試験および現地斜面における2次元浸透解析を実施し,妥当性の検討を行った。検討の結果,比較的浅い層については,実験結果を数値シミュレーションで再現できたが,深くなるにつれ差異が見られた。今後,初期条件および材料条件の設定方法について検討する必要がある。 以上の研究を有機的に組み合わせることにより,降雨時および降雨後の斜面安定度を定量的に評価することが可能なシステムの確立を目指す。
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