2007 Fiscal Year Annual Research Report
遠心力場散水シミュレーションによる土構造物の降雨時安定性に関する研究
Project/Area Number |
19760332
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Research Institution | Toyota National College of Technology |
Principal Investigator |
小林 睦 Toyota National College of Technology, 環境都市工学科, 講師 (30390462)
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Keywords | 豪雨災害 / 斜面崩壊 / 遠心模型実験 / 盛士斜面 |
Research Abstract |
本研究においては,豪雨時の斜面崩壊メカニズムを明らかにすることを目的として,遠心力場散水実験を実施した.ところで,遠心模型実験においては,実在する地盤材料を用いて模型地盤を作製すると,間隙流体の粘性を調節しなければ浸透現象に関する相似則が満たされなくなる.さらに,散水する流体をできるだけ微粒化させ,散水実験中の盛土表面の水食を防ぐことにも留意しなければ,適切な豪雨散水シミュレーションは成立しない. そこで,先ず遠心力場において適切に散水実験を行うための降雨装置の開発に着手した.散水ノズルには,噴霧孔付近で液体に圧搾空気を当てて微霧を発生さたる2流体ノズルを採用し,模型地盤表面に均一に散水することのできるシステムを構築した. このようなシステムを用いて,雨量強度および盛土締固め時の飽和度の影響を調べるための模型実験を実施した.盛土材料にはまさ土を用いて,締固め度が80%になるように模型盛土を作製した.また,雨量強度は,大雨警報が発今される程度の40mm/Hr程度と70mm/Hrの豪雨に設定した.その結果,豪雨時には,降雨強度の違いに拘わらず,盛土表層部の雨水浸透に伴う土塊重量の増加と飽和度の上昇によるせん断抵抗力の低下によって,極めて表層部の崩壊が順次繰り返されていくことが観察された.一方,盛土造成の際の飽和度が高い地盤においては,含水比調整時に土質材料が団粒化したために,地盤の随所に局所的に間隙の大きな領域が形成された.これによって,雨水の浸透能力が向上し,40mm/Hr程度の雨量においては,雨水は地盤内へ浸透していくことが観察された.さらに,降雨の進行に伴って盛土内に浸透流が発生し,盛土全体の大きな変形が見られた.このように,同一地盤材料においても締固め施工時の飽和度が異なれば,浸透能力が変わってくるために,崩壊・変形挙動には違いが生じることが分った.
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