2009 Fiscal Year Annual Research Report
遠心力場散水シミュレーションによる土構造物の降雨時安定性に関する研究
Project/Area Number |
19760332
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Research Institution | Toyota National College of Technology |
Principal Investigator |
小林 睦 Toyota National College of Technology, 環境都市工学科, 准教授 (30390462)
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Keywords | 豪雨災害 / 斜面崩壊 / 遠心模型実験 / 盛土斜面 / 補強盛土 |
Research Abstract |
本研究においては,豪雨時の土構造物の変形・崩壊メカニズムを明らかにすることを目的として,遠心力場散水実験を実施した.遠心力場において浸透現象を扱う場合は,浸透時間に関する相似則を考慮する必要がある.盛土斜面を対象にした散水実験では,この種の相似則がしばしば問題になるため,間隙流体の粘性を調節して解消した. 発生頻度が稀な降雨現象として,時間雨量150mm程度の豪雨を1時間与えた場合の盛土斜面の崩壊機構を調べたところ,降雨開始から早い段階で表層が崩壊することが分った.また,法面勾配30度の盛土斜面において,時間雨量30mm,総雨量450mmになるまで降雨を与えたところ,崩壊土砂は観察されずに,他のケースのような表層崩壊と比較して深い部分でのせん断変形と盛土全体の沈下が確認された.これは,雨水が地盤内に浸透していったことに起因するものと考えられる.本研究で用いた地盤材料の内部摩擦角がφ^'=40度であることが分っており,盛土の法面勾配が土の内部摩擦角以上である場合,雨水浸透による極めて表層部分での飽和によって見掛けの粘着力が消失すると崩壊が発生することを示唆している.一方で,法面勾配が緩く表層崩壊に対する安定性を保持している場合は,雨水は地盤内に浸透していき,盛土全体の飽和度を上昇させる.さらに,土塊重量の増加により不安定化していくと,大きな円弧に沿ったすべりに対する安定性が低下すると考えられる. 多数アンカー式補強土壁の豪雨時安定性を評価するための遠心力場散水実験においては,飽和領域が上部から拡大していく場合は,崩壊しようとするくさび状の土塊が小さく,これを負担する補強体が有効応力の減少によって十分な引抜き抵抗力を発揮できなければ,壁面パネルの移動は上部から進行していくことが分った.
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Research Products
(5 results)