2007 Fiscal Year Annual Research Report
流量・流砂量に着目した河床付着藻類一次生産制御手法の開発
Project/Area Number |
19760336
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
戸田 祐嗣 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 准教授 (60301173)
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Keywords | 付着藻類 / 流量・流砂量制御 / 一次生産 / 増殖解析 / 出水 / 浅水流解析 / 有機物負荷 |
Research Abstract |
本研究では,水理特性と河床付着藻類増殖特性の関係を明らかにし,流量・流砂量制御による河床付着藻類一次生産制御手法を開発することを目的とする.上記の目的を達するため,平成19年度は付着藻類繁茂に関する現地観測,藻類繁茂量予測の数値解析モデルの開発を行った. 現地観測では,矢作川下流域を調査対象地と選定し,夏季から冬季にかけての付着藻類繁茂域の計測,河道内水質の連続観測を実施した.観測結果より,平水時に繁茂した付着藻類が出水時に剥離することにより,下流域への粒子態有機物負荷量を増加させていることが明らかになった. 現地観測結果と既往の藻類生理に関する研究成果に基づいて,砂河川における付着藻類繁茂予測モデルを構築した.モデルは河川流の浅水流解析と付着藻類の増殖解析より構成され,河床に作用する掃流力が限界掃流力を上回った場合に付着藻類の剥離が生じ,掃流力が限界掃流力より小さい場合に,付着藻類の増殖が生じるものとしている.構築されたモデルを用いて,現地観測対象期間における付着藻類繁茂域の再現計算を行ったところ,出水に伴った藻類の剥離や平水時の増殖過程を精度よく再現できることが示された. 開発されたモデルを用いて,河川流量を人為的に変化させた場合の,藻類繁茂量の変化に関する数値実験を実施した.流量制御として,実河川流量に対して一定量の流量を増加させた場合と人為的に出水のインターバルを変化させた場合について検討を行った.数値実験の結果,河道内の一次生産量は,出水インターバルと密接な関係にあり,適度なインターバル(研究対象地ではおおむね10日程度)で出水が生じた場合,河床での付着藻類一次生産量がピーク値を示すことが示された.
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