2007 Fiscal Year Annual Research Report
魚の遊泳特性の解明とそれに基づいた遡上率の高い魚道の設計指針の確立
Project/Area Number |
19760343
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
鬼束 幸樹 Kyushu Institute of Technology, 工学部, 准教授 (20293904)
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Keywords | 開水路流 / 魚道 / 河川生態系 / 通し回遊魚 / 階段式 |
Research Abstract |
ダム,堰,落差工によって生じる水位落差は、水生生物の移動の障害となる.そのため水位落差を分割し,魚類の遡上および降下を助ける目的で魚道が設置されてきた. 魚道の建設計画を行う際,高い遡上率を達成できる設計案を提案すべきである.階段式魚道において遡上に影響を与える要素として,隔壁形状,プール長,隔壁間落差,粗度の有無,切り欠きの有無とその位置,隔壁部の切り欠き率などがあげられる.Wadaおよび農林水産省は,隔壁の天端形状が傾斜型および丸型の方が直角型に比べて遡上率が高いことを示している.久保田はプール長を系統的に変化させてイワナの遡上率を計測した.その結果,プール長が魚の体長の2倍以上のときに,遡上率が最大になることを示した。和田は隔壁間落差の適正値が0.15〜0.25mの範囲と述べている。粗度の有無については,底面に粗石を設置した場合が設置しない場合に比べて,遡上数が高いことを佐合らが確認している.鬼束らは階段式魚道において交互切り欠きよりも片側切り欠きの遡上率の方が高いことを実験に基づき示した.一方,隔壁部の切り欠き率に関して,国土交通省は流況を安定させるために,0.17〜0.2の範囲に設定することを推奨しているが,これを実証したものはほとんどない.本研究は,階段式魚道の切り欠き率および流量を系統的に変化させて遡上率の変化を解明した.続いて,流速測定および定位位置を測定し,水理量が遡上特性に及ぼす影響を検討した. 実験の結果,切り欠き率が0.1〜0.2付近で遡上率が高く,0.3〜0.7では微減した.したがって,国土交通省の推奨値(0.17〜0.20)が妥当なことが初めて実験的に示された.
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