2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760349
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Research Institution | Public Works Research Institute |
Principal Investigator |
木岡 信治 Public Works Research Institute, 寒地土木研究所寒地水圏研究グループ寒冷沿岸域チーム, 主任研究員 (20414154)
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Keywords | 海氷 / 津波 / 衝突 / 衝撃 / 自由落下 / 脆性的破壊 / 個別要素法 |
Research Abstract |
氷海域において、低気圧に伴う海面上昇、波浪、津波にともなって氷盤が防波堤・護岸等を越える「越氷」や、陸への「遡上」により、港湾・海岸構造物、家屋などへ海氷が衝突する現象に関する要素実験(中規模度)として、自由落下による杭構造物への人工海氷衝突実験を実施した.また海氷と,材木やコンテナ,船舶,車両などの他の(津波)漂流物による衝突力と比較検討することを目的とし,人工海氷の質量や寸法・形状を同一となるよう調整した木材(無垢のカラマツ)と鋼製材料(SS400)を衝突させた.海氷と異なり,脆性破壊を生じない(破壊後の飛散が伴わない)木材の場合,衝突力は海氷と比べて,およそ1オーダー大きくなること,速度に応じてほぼ比例して増大すること,衝突力は木の繊維の方向に大きく依存し,衝突方向が木の繊維に平行となる場合の衝突力は、垂直とした場合より,およそ半分程度となる,ことが分かった.また,エネルギ保存則と材料間の接触にヘルツの接触理論を適用した解析によっても,実測の衝突力の傾向をよく説明でき,また松富の木材の衝突理論の傾向ともよく一致した.同じく脆性破壊を生じない鋼製材料の衝突力は,やや木材の場合に比べて大きな値を示したが,木材と同様な傾向を示した.また、粒子間に引張抵抗を与えた個別要素法を用いて、衝突速度等種々の条件での海氷の衝突シミュレーションを実施した.これにより、津波来襲時の被害予測あるいは重要構造物の設計に資する実用的な氷塊衝突力の簡易推定式を構築するための条件を整備した.
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