2007 Fiscal Year Annual Research Report
住民の心理過程を考慮した避難所の災害情報ステーション化による避難率向上策の検討
Project/Area Number |
19760350
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
及川 康 Gunma University, 大学院・工学研究科, 講師 (70334696)
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Keywords | 自然災害 / 減災 / 防災 / 社会系心理学 / 災害社会工学 / 避難行動 / 災害情報 |
Research Abstract |
河川洪水や津波など、その発生までに若干の時間的猶予が存在する災害時の住民避難に関して、住民のいわゆる「避難していない」状態について、積極的に「避難しない」という選択肢を選んでいるという状態はむしろ希で、避難開始の判断をひとまず保留している状態の結果として避難していない状態の住民は多く、自分を正当化するための理由(情報など)を検索している状態が現状では多くを占めていると解釈すべきであろう。この「判断保留」の心理状態にある住民を、そのまま「避難していない」状態にとどめておくのではなく、結果として「避難している」状態に誘導するための方策として、避難所の災害情報ステーション化戦略を提案する。 多くの住民が「判断保留」の状態にとどまるのは、より確定的な状況判断のための判断材料(情報)を多くの住民が欲していることが背景にあるとするならば、そのような高い情報ニーズに応えるべく、地域の避難所を災害情報ステーション化することには、一定の合理性が認められる。しかしながら、避難所の情報ステーション化方策には一定の整備コストも要することから、その客観性を保証するためにも、そのような整備を行った場合に、どれほどの避難所利用者(より正確には、緊急避難としての避難所利用者)の増加が見込まれるかを、事前にその概略を把握しておくことは肝要である。そこで本研究では、住民の避難に至るまでの心理過程を考慮し、避難所の災害情報ステーション化による避難率向上策の妥当性を検証する。 住民避難に至る心理プロセスを実態に即したかたちで把握するためには、多くの無視し得ない要因が存在することから、まず、これらの要因の影響の仕方について既存研究をレビューし整理するとともに、それらが住民の行動モデルとしてどのような構造で影響するのかを検討した。
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