2007 Fiscal Year Annual Research Report
空き家の発生メカニズムを考慮した縮退段階都市のシミュレーションモデル
Project/Area Number |
19760353
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
アルプコキン ペリン Nagoya University, 環境学研究科, 助教 (70437078)
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Keywords | 空き家 / 住宅立地 / 住宅需給 / 高齢化 / コンパクトシティ |
Research Abstract |
人口減少・少子高齢化に伴う世帯属性の変化が空き家数に及ぼす影響の予測モデルを構築し、名古屋市とその周辺への適用を試みた。 構成したモデルの概略を示す。本モデルは、(1)世帯数推計モデルと(2)住宅市場モデルの2つのサブモデルによって構成されている。 (1)では世帯属性を考慮した各ゾーンの将来世帯数を算出する。一期を5年とするコーホート要因法を用いて行う。ただし、通常一定と仮定されるゾーン間の人口移動(純移動)についても、本研究では純移動率変動の大きな要因である住宅・宅地開発の有無を回帰分析により考慮することで、将来の純移動率の設定をより妥当なものにすることを試みている。 (2)では各属性別世帯数に基づいた住宅需要量と、新規建設や除却によって変動する住宅供給量を算出し、住宅の需要と供給との差を求め、空き家発生量を推計する。通常の住宅市場は、この両者は価格によって調整され均衡するようにモデル化されるが、実際には供給過剰によって空き家発生をもたらしていることから、本研究は需要と供給の関係を一旦切り離し、住宅価格関数を別途推計し、需給の乖離を空き家の発生として表現している。 いくつかのシナリオに基づいて学区単位で2030年の状況を予測した結果、都心回帰現象の有無によらず特に郊外部での空き家が今後急増することが示唆された。また、現在の平均年齢の高い地区ほど空き家率が高くなるなど、少子・高齢化の進行による空き家増加の空間分布の特徴を表現することができた。
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