Research Abstract |
本年度においては,昨年度構築した消費に関するディマンドチェーン形成行動を誘導しうる交通企業,小売企業の行動モデルを再検討し,近い将来実施する予定の実証研究に耐えうるモデルへと拡張した.過去二年度にわたって開発した,空間的消費外部性を明示的に取り込んだ消費行動モデルを構築し,ディマンドチェーンを形成するメカニズムを分析するツールを用いて,消費者が特定の地域内で行動するインセンティブを得るような価格設定,経営戦略を分析し,交通コミュニティカードデータ島により実証分析を実施するための基礎を固めた.実証モデル構築にあたって,企業行動の分析にあたっては,実際にディマンドチェーン形成を目指した経営を行っている実務家からのヒアリングを行った.関連する研究者・実務者が交通経営に関する検討課題とその解決方法を議論する交通経営マネジメント研究会において,土木計画,交通経済学,交通経営学に関する専門家のみならず,実務の分野から鉄道事業者,クレジットカード発行会社,高速道路事業者など関連する様々な分野からの参加者からその知見を獲得すると共に,特に,クレジットカード会社の情報入手状況やその活用方法については,実際に携わっている方の研究協力を得手モデルの構築に援用した.同研究会におけるディスカッションや,参加メンバーからの具体的な専門的知識の提供を援用することにより,交通カード,コミュニティカードの実際上の運用に関してや,その導入の理論的背景等を効率的に整理できた.最後に,一般均衡モデルに向けて必要となるデータの種類についての整理,及び入手可能性の検討を行い,将来的な実証分析実施のためのデータ入手可能性に関する調査実施に向けた検討を行った.
|