2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760359
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
榊原 弘之 Yamaguchi University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (90304493)
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Keywords | 都市整備 / 市民参加 / コンフリクト |
Research Abstract |
平成19年度は,実験経済学的アプローチを用いて,実際の参加型計画プロセスに類似した状況を創出した上で,複数の被験者に個別に役割を与え,被験者が共に知識を提供しあって問題を解決してゆく過程を記録した.具体的には,実際のコンフリクトに類似した構造を有するゲームを設計した.これらのゲームをプレイする実験を通じて,コンフリクト調整における,コミュニケーションの役割について分析を行った.特に,(1)協調によるパレート改善が可能なコンフリクト(当事者が互いに相手の目的(関心事)に貢献することができるような状況),(2)パレート前線上での資源再配分に関するコンフリクト(すべての当事者の状態を現状から改善すること(パレート改善)が不可能な状況),(3)一方的譲歩が必要なコンフリクトという,3種類の異なるタイプのコンフリクトを想定することにより,コンフリクトの類型別の特徴を比較した. 実験の結果以下の点が明らかとなった. ・各当事者が自らの関心事を表明しても,自分が具体的にどのような行動を期待されているのかが明確でなければ,協調は困難である. ・コンフリクトがパレート改善可能な構造((1))を有していれば,コミュニケーションによる合意の達成が容易である. ・パレート前線上の資源再配分((2))においては,既得権を放棄する譲歩は困難である.一方で,不十分ではあっても補償的措置が存在することにより,資源の再配分に同意する参加者も半数以上存在した. ・一方的譲歩が必要な場合((3)),相手参加者からの代償的措置が存在せず,一方的な貢献が求められるために,合意が困難となり,当事者問のコミュニケーションが重要である.
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Research Products
(3 results)