2009 Fiscal Year Annual Research Report
亜熱帯島嶼地域における水供給計画の再考-生活と観光のジレンマに着目して-
Project/Area Number |
19760360
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
神谷 大介 University of the Ryukyus, 工学部, 助教 (30363659)
|
Keywords | 渇水リスク / 島嶼観光地 / 観光水量 / 水道 |
Research Abstract |
本研究は、亜熱帯島嶼観光地域における渇水リスクマネジメントのために、利用者参加型の水資源・利水計画方法論の構築を目的としている。このために、一昨年度の研究成果より離島市町村を分類し、昨年度は座間味島、石垣島、渡名喜島、今年度は与那国島において渇水リスク・観光に対する意識、節水行動に関するアンケート調査を実施した。1人1日あたり水使用量は渡名喜島が最も少なく、与那国島が最も多くなった。この原因は渡名喜島が最も家庭用井戸を利用していることによると考えられる。雨水タンクの利用は座間味島が最も多いが、それでも3割に満たない。これらは主に散水に利用され、次いで洗濯、トイレ用水となった。また、節水機器の利用は座間味島が最も多いが、これも約3割程度であった。この島は毎年のように給水制限が実施されており、節水コマを全戸配布したにもかかわらず、その普及率は低いものとなった。しかし、蛇口はこまめに閉める、洗濯はまとめ洗いをするなど、節水への心配りは半数以上の座間味島民が行っていた。このような行動に至る原因として、「この島は水が不足している」という意識、「日々、渇水による給水制限が起きるのではないか不安である」という心が「節水しよう」という行動意図の形成に影響している事が示された。また、海水淡水化を行っている渡名喜村は水道料金が最も高いが、これが家計の負担と感じている人は約4割であり、他の島との違いはなかった。また、座間味島の人は観光客の増加が給水制限に影響を与えていると判断している一方で、観光産業のさらなる発展を望んでいる。これは、沖縄の離島地域が抱える観光の光と陰を表していると考えられる。本研究では、各家庭の水使用量のデータを入手することが出来なかったため、意識と水使用量の関係を因果モデルとして構築することは出来なかったが、島の環境による水に対する意識と行動の差異は表現できた。
|