2007 Fiscal Year Annual Research Report
水道システムの衛生管理を目的としたバイオフィルム形成診断指標の開発
Project/Area Number |
19760371
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大河内 由美子 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (00391079)
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Keywords | 水道システム / 給配水過程 / バイオフィルム / 微生物指標 |
Research Abstract |
モデル微生物としてPseudomonas fluorescens P17およびAquaspirillum sp. NOXを選定し,R2A液体培地中で短時間培養した際に新規に合成されたDNAを5-プロモー2'-デオキシウリジン(BrdU)によりラベル化した。種々のラベル化条件で得られたBrdUラベル化DNAを免疫学的手法により定量するとともに,試料中の各微生物細胞数をR2A平板培養法により計測し,両者の関係を調べた。その結果,水道水試料を想定した場合には,ラベル化反応時のBrdU濃度は1000 nMが適していること,ラベル化反応時間は5時間で十分であることがわかった。また,得られたBrdUラベル化DNA量は各試料中の微生物細胞数が0.1-1000CFU/mLとなる範囲で,細胞数の対数値に比例して増大することを示した。これらの結果から,提案するBrdU法により,水試料中の従属栄養細菌数を36時間程度で予測することが可能になる。 さらに,残留塩素濃度を低減した給配水システムを想定して,残留塩素濃度を0および0.07mg/Lに調整した水道水をPVC断片を装着した模擬バイオフィルム形成反応槽に通水し,バイオフィルム蓄積の速度および定常に達したバイオフィルム密度と,流出水中のエンドトキシン濃度とその形態変化を調べた。その結果,残留塩素存在下ではバイオフィルム蓄積速度が残留塩素なしと比較して約半分であること,また定常に達したバイオフィルム密度は約1/100となることがわかった。また,微生物再増殖が進んだ試料(>5000CFU/mL)では,遊離エンドトキシン比率が0.7以下となることが示された。
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