2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ膜固定化微生物を利用した新規の多目的BODセンサの開発
Project/Area Number |
19760375
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
下村 美文 Tokyo University of Technology, バイオニクス学部, 助教 (30409792)
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Keywords | 水質計測 / バイオセンサ / 微生物 / BODセンサ / 難分解性有機物 / 活性汚泥 |
Research Abstract |
本研究の目的は従来のBODセンサでは測定できないリグニンやフミン酸などの難分解性の有機物を含む下水処理水やBOD濃度の低い河川水などの試料を、簡便かつ正確に測定できる新規の多目的BODセンサを開発することである。平成19年度はまず、研究室保存菌株Pseudomonas putida SG10の増殖確認および分解活性の確認を行った。しかしながら、活性が著しく低下しており、期待していた分解能力が得られなかった。そこで約1年間(春夏秋冬の計4回)をかけて、水再生センターの活性汚泥を分離源として菌株の単離を行った。この際、実用化したときの取り扱い易さを考慮し、酵母をターゲットにすることとした。難分解性有機物質を唯一の炭素源として生育する菌株が数十株得られた。これらの単離した酵母を用いて難分解性物質の分解率、増殖速度、標準BOD試薬への応答性および人工合成排水を用いた応答性の確認を行い、その結果、特に優れた候補菌株を5つ選出した。これらの候補菌株の同定を行った結果、子嚢菌系酵母および担子菌系酵母であることが明らかとなった。当初予定していた研究室保存菌株を使用した場合にはあらかじめ菌株が難分解性有機物質を栄養源としやすいように、UV処理やオゾン分解などの物理化学的処理を行う必要があると考えていた。しかし、今回得られた候補菌株を用いた微生物膜では前処理なしでも十分に低濃度のBODの測定を行うことが可能であった。これは実用化・小型化するために余分な装置が必要ないことを意味し、極めて重要である。したがって本年度の研究により、ナノ膜固定化微生物を利用した新規の多目的BODセンサの開発に向けて大変意義のある成果を得ることができた。
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Research Products
(2 results)