2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ膜固定化微生物を利用した新規の多目的BODセンサの開発
Project/Area Number |
19760375
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
志水 美文 (下村 美文) Tokyo University of Technology, 応用生物学部, 助教 (30409792)
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Keywords | 水質計測 / バイオセンサ / 微生物 / BODセンサ / 難分解性有機物 / 活性汚泥 |
Research Abstract |
本研究の目的は従来のBODセンサでは測定できないリグニンやフミン酸などの難分解性の有機物を含む下水処理水やBOD濃度の低い河川水などの試料を、簡便かつ正確に測定できる新規の多目的BODセンサを開発することである。平成20年度はまず前年度に選出した候補菌株を膜に固定化したBODセンサを作製し、従来品のBODセンサの菌株T. cutaneumと取り扱いやすさ、センサ応答、低濃度(1-10mg/L)BOD標準液での濃度依存性について比較した。その結果いずれも候補菌株の方が良い評価が得られた。さらに微生物膜の個体差、温度による影響を検討した。候補菌株は測定時の温度により結果にばらつきが生じ、20℃、25℃、30℃の中では30℃で一番高いセンサ応答が得られた。最終的に候補菌株を用いて作製したBODセンサにより擬似河川水の測定を行ったところ、擬似河川水にもセンサ応答があり、難分解性の有機物組成成分にもセンサ応答が得られた。以上のことから、BOD濃度の低い試料水の測定には従来の菌株T. cutaneumより候補菌株の方が向いており、新規のBODセンサの開発に向けて極めて重要な成果を得ることができた。しかし、作製したセンサによるBOD標準液の測定結果にばらつきが出たことや擬似河川水の測定値がBOD5日間法の値と異なっていたこと、有機物以外の組成にも応答したことから、実際の河川水試料を測定するには装置全体を適温になるように制御し、同様に有機物・無機塩に応答するか確認する必要性が明らかとなった。本年度の結果から河川水のBOD値を正確に測定することが可能となる意義深い知見が得られた。
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