2008 Fiscal Year Annual Research Report
地震被害低減のための供用期間中における木造住宅の目標性能評価
Project/Area Number |
19760389
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森井 雄史 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (10419450)
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Keywords | 木造住宅 / 目標性能 / 変形性能 / 被害低減 / 地震被害 / 供用期間 / 損傷確率 |
Research Abstract |
数十年後に発生する大地震に備えた耐震改修の有効性の検証、耐震性能の高い住宅を長寿命化するための維持管理の必要性検討を行っていくためには、住宅の築年数による経年劣化の影響とともに、地域の地震環境を考慮して、木造住宅の地震被害低減のための目標性能を明らかにしていく事も重要である。 本年度においては、木造住宅の耐震性能や築年数による経年劣化の影響や地域の地震ハザードの違いに着目しだ木造住宅の地震損傷確率予測のパラメータ分析を行い、木造住宅の地震被害低減の提案に繋げるための検討を行った。まず、京都市の木造住宅を対象として、地震損傷確率予測を行い、木造住宅の地震被害低減法について検討した。多くの場合、木造住宅の耐力を向上させることで、損傷確率を低減できることが確認されたが、地震動特性によっては、木造住宅の耐力を上昇させるだけでは必ずしも損傷確率の低減に繋がらない場合があり、耐力上昇とともに変形性能の確保が重要であることを指摘した。 次に、発生確率が高い南海・東南海地震などの想定被災地域や活断層による地震の発生が懸念されている地域である高知県、大阪府を対象として、地震損傷確率予測の事例解析を行い、木造住宅の地震被害低減に有効に作用する耐震性能について検討した。大阪府のように、南海・東南海地震の震源域から比較的離れた地域でも、耐力が低い住宅では損傷確率が高くなる場合もあり、必要最低限以上の耐力を確保することは重要となる。一方、高知県のように、南海・東南海地震の震源域で地震の発生確率の高い地域では、耐力が高い住宅ほど経年劣化による耐震性能の低下の影響も大きく、地震被害低減を考える上では住宅の維持管理対策も重要となることを示した。
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