2008 Fiscal Year Annual Research Report
スーパータイフーンが住家被害の拡大に及ぼす影響因子の共分散構造分析
Project/Area Number |
19760390
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
友清 衣利子 Kyushu University, 大学院・人間環境学研究院, 助教 (30346829)
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Keywords | 減災 / 強風災害 / 被害推定 / 耐風性能 / 数量化 / 相関分析 |
Research Abstract |
風速や風の乱れの強さなどの風の影響因子および構造種別や築年数、屋根形状などの構造物の特性が強風被害拡大に影響を及ぼすことがこれまでに指摘されている。しかし、複雑に絡み合うそれらの影響因子は関連して住家被害を引き起こすため、単純な相関分析では住家被害拡大要因を特定することができない。本研究では種々の影響因子が関連して発生する強風被害をより正確に推定することを目的に、偏相関分析、重回帰分析、共分散構造分析などの統計的手法を用いて強風被害拡大の主要因を特定し、台風時の強風被害の推定を行った。 本年度は以下の手順で研究を実施した。 1. 前年度に整理した強風被害影響因子をもとに住家の耐風性能を示す係数を求めた。 2. 風に関する影響因子と構造物の耐風性能に関連する影響因子とを組み合わせて、風速のみを用いた従来の手法に比べて実際の被害により良く対応する住家被害率を推定する手法を提案した。 3. 気象モデルを用いた台風のシミュレーションに基づく風速場と、1. でまとめた住家の耐風性能を示す係数から、自治体ごとの住家被害率の推定を行った。 4. 推定した住家被害率から九州での台風による推定強風被害率分布図を作成するとともに、実際の被害率分布との比較・検討を行った。 構造物の特性を数量化することで住家の耐風性能の指標とし、風速と耐風性能を組み合わせて住家被害率を推定する手法を提案した。提案手法は風速だけを用いる従来の手法に比べて強風被害推定精度を高めることを示した。あわせて気象モデルを用いた台風シミュレーションと本手法を組み合わせることで、自治体単位での強風被害率を推定して被害分布図を作成した。同手法を用いれば強風に関するハザードマップの作成が可能であると考えられる。
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