2007 Fiscal Year Annual Research Report
高精度な巨大地震被害予測スキームを用いた時系列被害予測とその耐震施策への応用
Project/Area Number |
19760391
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Research Institution | 飛島建設株式会社防災R&Dセンター技術研究所 |
Principal Investigator |
包 那仁満都拉 飛島建設株式会社防災R&Dセンター技術研究所, 研究員 (30432876)
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Keywords | 時系列 / 地震動 / 建物被害 / 環境負荷 / 地震廃棄物 / 南海地震建物床面積 |
Research Abstract |
本研究では南海地震を対象にして,地震の規模はその地震の前回からの経過年間によって年々少しずつ増大すると仮定して強震動を推定し,対象地域における建物については,地震が発生する時期までの現存建物の耐力やその全体の構成比などが時系列で変化していくと仮定してより現実的な建物の地震被害予測を行う。即ち「時系列被害予測手法」の開発、実用化を目指している。 1、想定南海地震の規模の変化を平均すべり量に反映させて,時系列強震動を算定した。その結果,南海地震の発生が現在の発生確率が高いと言われている2037年からずれると対応する強震動が変化し,平均的に10〜20年間ずれると震源域から近く地域における震度階級が約±1変更する傾向があり,発生する時期が10年間ずれると強震動波形の最大値が10%程度変化することが分かった。 2、建物面積が総人口と比例すると仮定して,対象地域における建物面積を2003年から2060年まで予測した。その結果,耐震補強などを考慮しない場合は,全体建物面積は減少する傾向があり,旧耐震建物は2040年代から殆どなくなる予測になった。また,名古屋市や大阪市における建物に微動観測を実施した。 3、想定南海地震の地震規模が2037年の場合と2003年までの対象現存建物面積を用いて,木造,RC造,S造建物が中破した場合は修復に,大破以上の被害を受けた場合はその構造躯体の解体,運搬及び建替に伴うCO_2環境負荷と廃棄物量を算定した。その結果,巨大地震による環境負荷がかなり大きいことが指摘できた。さらに,建物耐力を1.25倍,1.50倍に増大させた場合,被害率も廃棄物量もそれぞれ約30%,50%および約22%,37%減少するが,CO_2排出量は大破する木造建物と旧耐震非木造建物に限っては総計でも若干減少するものの,新耐震建物や中破建物では逆に増大することが分かった.
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