2009 Fiscal Year Annual Research Report
サブストラクチャ擬似動的実験による鉄筋コンクリート建物の中間層崩壊に関する研究
Project/Area Number |
19760393
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中村 孝也 Tokyo Metropolitan University, 都市環境科学研究科, 助教 (50305421)
|
Keywords | 鉄筋コンクリート建物 / 旧基準 / 中間層崩壊 / せん断破壊 / 耐力低下 / 最大水平変形 / 耐力低下時水平変形 |
Research Abstract |
1995年兵庫県南部地震では,10層程度の鉄筋コンクリート(RC)建物が多く中間層で崩壊したのに対し,3層程度の建物ではそれほど層崩壊は生じなかった。このことについて検討するため,平成20年度において,擬似動的手法を用いて9層と3層RCモデル建物の崩壊実験を実施した。そこでは,地震動には3種類の波を使用し,9層建物の場合は7層で,3層建物の場合は最下層で崩壊するように設定した。崩壊層でのIs値は全て0.4程度となるようにした。固有周期は9層建物では0.45秒,3層建物では0.15秒とした。本年度はその実験結果に更なる考察を加え,9層建物と3層建物の層数の違いが最大水平変形へ及ぼす影響の比較,最大耐力以降の耐力低下領域における水平変形と崩壊水平変形の関係について検討した。後者の検討は,崩壊まで加力していない試験体の崩壊水平変形を推定するうえで有用と考えられる。 本検討の範囲内で得られた知見を以下に示す。 1) 9層建物と3層建物に同一の地震動を入力したところ,9層建物のほうが3層建物より最大水平変形が大きくなった。これは,崩壊層のIs値が同じ場合,3層建物の最下層より9層建物の中間層の方が,崩壊が発生しやすく,より危険であることを示している。 2) 各耐力低下時水平変形と崩壊水平変形の関係を調べた結果,両者の比率の変動係数は検討耐力が小さいほど小さくなった。また,変動係数を0.30以下とするためには,検討耐力を最大耐力の30%以下とする必要があることが判った。以上の結果は,過去の実験デ-タで崩壊まで加力していない試験体の崩壊水平変形を推定できる可能性があることを示している。
|