2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳波を用いた思考作業中の音の妨害感の発生要因に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19760407
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻村 壮平 Chiba Institute of Technology, 情報科学部, 特別研究員 (80409458)
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Keywords | 作業能率 / 音環境 / 妨害感 / 脳波 / 知的作業 / 騒音 |
Research Abstract |
平成20年度は、言語的意味を含む騒音が妨害感や知的作業の作業能率に及ぼす影響を検討するために、知的作業時の騒音の妨害感に関する被験者実験を実施した。具体的には、音声情報を呈示した条件下において知的作業を被験者に課し、正答率、主観評価、脳波の測定を実施した。 簡易無響室内において、音環境の条件を制御できるシステムを構築し、被験者に2種類の知的作業(2桁の加減算の暗算、漢字の暗記書き取り)を5分間賦課した条件で、言語的に有意味及び無意味な騒音(前者はニュース放送、後者はホワイトノイズ)を受聴点のL_<Aeq, 5min>で50dBとなるように呈示した。さらに暗騒音のみの統制条件(ピンクノイズを30dB(L_A)で呈示した条件)も加えて被験者実験を実施した。これらの条件下で、脳波の計測を行った。被験者は聴力正常な男性11名、女性8名の計19名とし、各被験者は各作業(2水準)と騒音(3水準)の組み合わせからできる6水準の試行を経験した。なお、実験中の暗騒音を一定に保つため、作業中はピンクノイズを受聴点で30dB(L_A)となるように呈示し続けた。脳波計測終了後、作業中に呈示された音刺激に関して、10段階の評定尺度法を用い、各作業に対する妨害感を被験者に求めた。 これらの実験結果を用いて分散分析及び多重比較を行い、音源の言語的意味性が作業能率と妨害感に及ぼす影響を検討した。これらの結果から、妨害感と脳波のFmθのパワーレベルに関連性が示され、(1) 正答率に及ぼす騒音の影響は表れないこと、(2) 騒音レベルが等しい場合でも、言語的意味を含む騒音は作業能率を低下させる可能性が高いこと、(3) 言語的意味を含む騒音は作業に対する集中力の低下を誘発し易いこと、(4) 記憶したものを思い出す時に騒音に暴露されると集中力が低下し易いことが示唆された。 上記の研究成果を、Inter-noise 2008 Shanghai及び2009年日本音響学会春季研究発表会で報告した。
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Research Products
(2 results)