2008 Fiscal Year Annual Research Report
民間非営利組織を中心としたPPPによる地域コミュニティ開発とそのデザイン
Project/Area Number |
19760414
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森 傑 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (80333631)
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Keywords | NPO / PPP / コミュニティ / サステナビリティ / 計画手法 / 優良田園住宅 |
Research Abstract |
本年度は、NPOが優良田園住宅の供給に積極的・意欲的に取り組んでいる富山市田園住宅開ヶ丘事業(以下、開ヶ丘事業)に注目し、そのケーススタディを通して、農村地域における宅地開発の際に導入される優良田園住宅の計画手法が地域コミュニティへもたらす影響と課題について、サステナビリティの観点から考察した。 促進法は、都市居住者の田園居住環境を実現することと、農村地域のコミュニティ活性化を目的として施行されたものである。しかし、その促進法から必然的・関連的に導かれる計画手法の制限により、一過性の開発事業になってしまうのであれば、法の存在意義はない。促進法施行から10年経った現在、全国15市町村に優良田園住宅建設事例があることから、前者の目的はある程度達成されつつあると考えられるが、今後の効果的な農村振興の実現を考えると、多様な属性と世帯構成の入居者の定住を促す計画手法を誘導するような法の改正が求められる。 また、開ヶ丘事業のケーススタディを通して、これまで期待されてはいたものの大都市では進展しがたかったNPOによる本格的な開発事業が、地方において実現に繋がった原動力として、地元関係者の密接なローカル・ネットワークと、それがもたらす農村振興という地域課題へ対する共通認識の深さが大きかったことも明らかとなった。集住としての田園居住環境のあり方と可能性を再考する上で、NPOが事業主となり、既存集落との繋がりや教育施設との連携などのアイデアを盛り込みながら、地元銀行の積極的な融資を基盤に、農村地域コミュニティのサステナビリティの実現を目指している開ヶ丘事業の経緯は、今後も継続して注目していきたい。
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Research Products
(2 results)