2007 Fiscal Year Annual Research Report
英国の都市協会の活動を対象としたシビックプライド醸成のための都市保全・創造史研究
Project/Area Number |
19760417
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 直人 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (30345079)
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Keywords | シビック・ソサイエティ / ロンドン協会 / バーミンガム都市協会 / 都市計画史 / 都市協会 / シビックアート / シティ・ビューティフル / シビック・トラスト |
Research Abstract |
本研究は主に1910年代から1920年代にかけて設立された英国の都市協会(civic society)の、現在に至るまでの活動の経緯を明らかにすることを通して、シビックプライドの醸成のための方法論を得ることを目的としている。本年度は、都市協会に関連する文献調査を実施した。特にイギリス国内で実施した文献調査では、1912年設立のロンドン協会(The London Society)の会誌(1912年創刊)の創刊号から最新号までの95年間分の通読、またバーミンガム都市協会(The Birmingham Civic Society)の年次報告書や会誌の収集により、当初、都市協会が専門技術家を多数有して、市政府に有効な提案を行っていく影響力のある団体として期待されており、都市のハード整備に重点を置き、積極的に関わっていたこと、戦後、次第に組織が変質してよりソフトな取り組みに活動を展開させていったこと、ただし途中活動が停滞し、近年になってその再生が試みられていることが明らかになった。また、特に設立期に関しては、アメリカのシティビューティフル運動の影響を受けて、シビックアートを一つの理念とした活動を展開していたことも明らかになった。また、1939年にはイギリス各都市の都市協会の連合組織として都市協会中央協議会(The Central Council of Civic Societies)が設立され、都市協会の活動を促進する運動を展開したこと、また、それが後にシビックトラストにとって代わられたことも明らかになった。こうした事実は、これまで我が国では殆ど言及されてこなかった事項であり、イギリスの都市協会の活動の都市計画史的意義を明確にする上で、非常に重要なパースペクティヴを提供する。来年度は、各都市の都市協会の個別の実績を明らかにすることで、都市協会の活動の全体像が把握できると考えている。
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