2008 Fiscal Year Annual Research Report
開発許可制度を緩和する区域に着目した市街化調整区域の土地利用制御に関する研究
Project/Area Number |
19760423
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
松川 寿也 Nagaoka University of Technology, 工学部, 助教 (60444189)
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Keywords | 市街化調整区域 / 開発許可条例 |
Research Abstract |
本研究では、開発許可条例で指定される「開発許可制度の運用を緩和する区域(以下、条例区域)」に着目し、自治体毎に開発許可条例の運用に多様性が生じている実態と要因を明らかにすることを目的とする。 次年度は、初年度に明らかにした開発許可条例の運用の多様性を踏まえて、旧既存宅地制度との関係を分析した。これをもとに、各自治体の条例区域に関する特性(強化型もしくは緩和型)を類型化し、調査対象自治体での詳細な調査分析によって以下のことを明らかにした。 強化型の開発許可条例では、自治体固有の政策的意向は確認できなかったが、国が定めた基準を従順に採用した結果として、より限定的な条例区域の指定となっていた。また、集落形態や農用地区域の指定形態から、やむを得ず文言指定を採用せざるを得なかった自治体では、保全する農地を即地化する対応がされていた。 一方、緩和型の開発許可条例では、緩和対象とする土地を宅地に限定することで、旧既存宅地制度の適用範囲より広い条例区域の指定が許容されていた。また、農振農用地を包含するなどして、非常に広く条例区域を指定した自治体では、農政部局との取り決めで農振農用地を文言で排除することができたものの、将来の市街化区域の指定を見越して確保された区域(農振地域すら指定されていない区域)が存在したため、一団の農地にまでも条例区域が指定される事態に至っている。 このように、開発許可条例の制度設計や農振法の運用に関する地域性の違いが、条例区域の広がりに大きく影響している事実を明らかにすることができた。
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