2008 Fiscal Year Annual Research Report
津波災害を意識した住民主体による生活空間生成のための計画論的研究
Project/Area Number |
19760426
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
平田 隆行 Wakayama University, システム工学部, 助教 (60362860)
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Keywords | 防災計画 / 津波 / 住民主体 / ワークショップ / 東南海地震 / 住民参加 / オーラルヒストリー / 漁村集落 |
Research Abstract |
平成20年度は、19年度に引き続き, 和歌山県日高郡日高町阿尾集落における調査を続行するとともに, 津波被害想定が阿尾集落とは大きく異なる, 和歌山県東牟婁郡串本町田原集落での調査を行った。 和歌山県日高郡日高町阿尾集落における調査は, 災害情報をいかにして拾い集め, それを住民が知り共有するのかを目的としたものである。 まず, 昨年度における二度のワークショップをもとに災害情報を地図化した。また, 集落全世帯に対するアンケート調査を実施し, 住民の情報を「助ける側」「助けられる側」に分け, 集落内部での自助と共助をどのように行えるのか, その資料を作成した。 つぎに, その災害情報を共有化するための「集落防災冊子」を作成した。助けるべき人がどこにおり, どのような助けを必要としているのか, それを冊子にまとめ, 集落全世帯に配布した。またその災害情報を絶えず更新して行くためのシステムを提案した。 和歌山県東牟婁郡串本町田原集落における調査は, 19年度において阿尾集落で行ったものと全く同様の調査を行った。被害想定が非常に大きく異なるが, 阿尾集落同様に, 災害情報の地図化, 災害文化や災害経験知識の採集が非常に有効であることが実証できた。串本町のように, 高い頻度で津波災害に遭遇している地域においては, 津波災害の教訓を強く刻む, というよりも「忘却する」という方向に働く傾向が見られ, ワークショップの開催は非常に大きな意味があった。これらの地区では, 住宅更新期に徐々に安全な土地へと集落を移動させて行く等の対策が重要であるという結果が得られた。
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