2008 Fiscal Year Annual Research Report
インドにおける近代的集合住宅の形成とその現状に関する研究
Project/Area Number |
19760434
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
池尻 隆史 Tokyo University of Science, 工学部第一部・建築学科, 助教 (10408718)
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Keywords | 建築計画・都市計画 / 建築史・意匠 / 集合住宅計画 / 植民都市 / チョール / インド / 住居 / コルカタ |
Research Abstract |
研究計画の通り、本年度もコルカタを対象とした現地調査を中心に研究を展開した。本課題はムンバイにおいて成立したチョールという集合住宅形式の、インド国内外の各地域への伝播と、その後の存続状況を明らかにすることを大きな目的としている。植民地期に遡ってチョールないしはこれに類する住居形式の形成が顕著であったという意味で、コルカタはムンバイとの比較対象として重要な位置づけにある。 コルカタの現地調査では、昨年度対象とした区域に加え、さらに調査範囲を広げて事例の収集に当たった。前年度の実績とあわせ、ブラ・バザール地区全域におけるチョールの分布状況が明らかとなっている。調査結果からはムンバイの事例との大きな相違点が街区レベルの空間構成にあることが示唆されている。大まかにはムンバイに比してコルカタの街区規模は大きく、内部の画地の分割が多種多様である。出現するチョールの平面形状も同じく多様であり、同じチョールの密集地でありながら、街区内部の空間構造はより複雑なものとなっている。 他の地域におけるチョールの伝播・定着の構造についても調査を行った。その過程で、より注目すべき伝播の例が確認された。住居形式としてのチョールは、インドにおいて19世紀末に始まる公的ハウジング施策に取り入れられ、実際に供給された記録がある。もっとも顕著であるのはムンバイの旧BIT(Bombay Improvement Trust)の例である。行政資料の収集など、本年度はその実績の把握にも努めた。この種の公共団体の設立はコルカタを含めインド各地で行われており、その活動内容の精査によって、住居形式としてのチョールの定着に関する新たな事実が明らかになる可能性が極めて高い。これは今後の研究的展開につながる視点として重要であり、その発見は本年度の大きな成果の一つと位置づけられる。
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Research Products
(1 results)