2007 Fiscal Year Annual Research Report
インド南北の宗教都市における都市空間の形成・変容過程に関する比較研究
Project/Area Number |
19760439
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
柳沢 究 Kobe Design University, デザイン学部, 助手 (60368561)
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Keywords | ヴァーラーナシー / マドゥライ / インド / 宗教都市 / 聖地 / ヒンドゥー教 / 街区 / 近隣単位 |
Research Abstract |
本年度は、インドの南北における代表的な宗教都市であるヴァーラーナシー(ベナレス)とマドゥライの旧市街を対象とする2度の現地調査を実施した。((1)2007年6月13日〜23日:ヴァーラーナシー、(2)2007年8月18日〜9月12日:マドゥライ、ヴァーラーナシー)。街路形態・敷地割りの変化・近隣単位の範囲と境界・住居の平面構成に関する調査研究を通じて、両都市の空間構成の一側面を明らかにすることができた。また、上記の調査研究で得られた知見を加え、年度末には京都大学工学研究科へ学位論文を提出した。両都市の特徴に関する比較考察は現在引き続き検討中であるが、本年度得られた主な成果は以下の通りである。 1.ヴァーラーナシーの近隣単位・モハッラの構成 北インドの伝統的近隣単位・モハッラの一般的な形成パターンを既往研究に基づいて考察した上で、施設分布や境界形式、規模・形状に関する分析を元に、ヴァーラーナシーのモハッラには規模・形状・街路構成の異なる二類型が存在し、両者は市街化のプロセスと対応しながら、都市の中心寺院を焦点として明快な分布を示していることがわかった。 2.マドゥライの街区構成の変容 1907年の地籍図と現況との比較から、街路形態・敷地割りの経年変化を明らかにするとともに、19c以前の敷地割りの推定を行った。以前の敷地割りは、対象街区のいずれにおいても、矩形の街区が背割りされた整然とした敷地割りであったと考えられる。20cには敷地の細分化・高密化が一貫して進行し、特に大規模敷地が袋小路の形成を伴いながら多数の狭小敷地へ再編される変化が多く見られた。また、その際に建設される住居の入口は東向きとなる顕著な傾向が確認され、ヒンドゥー教の方位観との関係が伺われる。
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