2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760446
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸 泰子 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (60378817)
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Keywords | 近世 / 京都 / 都市 / 祭礼 / 天皇 / 神社 / 町 / 空間特性 |
Research Abstract |
(1) 近世京都の都市祭礼に関わる天皇・公家・幕府・神社・町・町人等の対応の解析 近世京都の祭礼、特に祭礼時の朝廷社会・幕府ならびに町・町人・神社・寺院等の対応が明らかとなる史料を収集、整理した。今年度は、祭礼への対応が詳しく記載されることから、引き続き、朝廷から発令される触穢令下の公家・神社・神社・町人の都市祭礼への関与に着目した。その結果、各神社や町は同じ京都の他の神社等の動向に配慮しつつ各自の利益を優先する理論を確立することで、触穢令下でも都市祭礼の催行を検討していた事例を確認できた。 (2) 都市祭礼にみる近世京都の都市空間の特性の抽出 中世・近世京都の史料を幅広く蒐集し、都市祭礼時の空間の様々な様相を明らかにした。近世京都の祭礼空間は、都市の性格<都市性>が強く反映される場であり、特に、天皇・朝廷/権力者と風流や神輿を担う町・町人/非権力者という構図を反映する空間として機能しうる点に特徴があることがより明確となった。 また、この特徴に加えて、(1)で明らかとなった事例を都市史的視点から再考察することにより、禁裏御所周辺の築地之内とよばれる空間の特性を新たに定義することができた。これまで聖域として理解されていた築地之内は、決して聖域ではなく、天皇を守りその性格を保つための領域として機能しうる空間であり、近世の京都の都市の特性を考える上で重要な意味を持つことが明らかとなったといえる。なお、これらの成果は、一部は書評(11研究発表参照)のなかで紹介するとともに、現在、学術論文としてまとめている。適宜、学会誌に投稿する予定である。 (3) 研究支援データベースの構築 近世京都、近世都市に関する社会史学や美術史学・民俗学・社会文化中学・美術史学・宗教史学等、幅広い分野の資料を収集し、データ入力をすすめた。
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