Research Abstract |
今年度は資料調査として,日本における新作の建築作品を広く紹介する雑誌である「新建築⊥誌を中心に調査を行った。戦後から現在までに掲載された美術館を取り上げ,建築家による美術館建築の作品を整理し,同じ建築家による美術館が複数掲載されている例を特定した。 資料整理と並行して,美術館を訪問し,図面と比較しながら,展示空間における,均質性や場所性の有無についての現地調査を行った。具体的には,青森県立美術館では,ホワイトキューブと素材を感じさせる展示室による展示空間の連続について,国際芸術センター青森では,森林の中にある曲面を持つ展示室について,中村正義の美術館では用途変更をした展示室について,森美術館や熊本市現代美術館においては,高層ビルにおける展示室について,東京都現代美術館においては,企画展示室と常設展示室の両方にアトリウムのある展示室について,国立新美術館においては,野外展示場と展示室の関係について奈義町現代美術館,地中美術館においては,建筑と美術作品が恒久的に一体化した展示室について,丸亀市猪熊弦一郎現代美術館においては,展示室の連なりと風景の見える展示室について,展示室に固定壁のある展示空間について,熊本県立美術館本館においては,雁行配置する展示室と開口部についてなどの調査を行った。 来年度は,対象とする美術館建築家を絞り込み,美術館建築家による展示室における均質性と場所性について,図式化を行い分析をしていく予定である。
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