2008 Fiscal Year Annual Research Report
鉄道営繕組織の変遷から見た駅舎建設技術の歴史的研究
Project/Area Number |
19760456
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
久保田 稔男 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 理工学研究部, 研究員 (40280523)
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Keywords | 建築士・意匠 / 鉄道駅舎 / 人物 / 組織 / 今村彌兵衛 / 今村次男 / 宮内省内匠課 / 今村竹次郎 |
Research Abstract |
本研究では駅舎とそれを建てた技術者に着目し、鉄道敷設にあたり建築技術者がどのように関与していくのか、駅舎の建設経緯を踏まえて明らかにする。駅舎と、その建設に関わる技術者は膨大な数になるため、対象を駅舎建設史の転換点に位置づけられる東京駅建設前後とし、東京駅と同じエ事区域で建設された駅舎とする。これらの工事は明治29年に設置された「新永間建築事務所」を最初とする建設組織が所管し、以後、東京区内の鉄道網の根幹を建設する。そこで研究対象を「新永間建築事務所」とその後継組織の所管する工事区域、年代を「新永間建築事務所」が設置された明治29年から、鉄道省内に建築営繕を専門に担当する部署である「建築課」が設置される大正9年までに限定し、考察する。 本年度は昨年に引き続き鉄道技術者の経歴調査を行った。前年に明らかとなった建築技術者・今村竹次郎について調査を進め、提供された資料の整理を行った。今村竹次郎の親族である彌兵衛は宮内省内匠課に在籍し、建築学会会員として会員名簿に名前が記載されていた。彌兵衛の遺品と思われる江戸城図面は、重要文化財として東京都中央図書館に伝えられている図面とほぼ同じであることが明らかとなった。竹次郎に同じく鉄道建築にかかわった次男は、設計競技参加図面、各種建築材料のカタログや有名建築の竣工記念資料等々の資料を残したが、そのうちの建築材料のカタログ中に、佐治タイル社のカタログがあり、現存する同社タイルと比較することで、タイルの製造年代を特定する有力な手がかりとなることが明らかとなった。
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