2008 Fiscal Year Annual Research Report
L1o型FePdナノ粒子の規則不規則変態及び磁気変態の透過電子顕微鏡による観察
Project/Area Number |
19760459
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 和久 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (70314424)
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Keywords | L1_0型規則構造 / FePdナノ粒子 / 規則不規則変態 / 粒径依存性 / 高分解能電子顕微鏡 / 球面収差補正 / HAADF-STEM / Zコントラスト |
Research Abstract |
本年度は、粒径10nm以下の微細なFePdナノ粒子について、そのL1_0型規則格子形成と粒径との関係を調べる目的で下記の研究を行った。まず、IPを用いた加熱その場観察により、規則格子反射強度の粒径依存性を調べた。その結果、約650℃付近で規則格子反射強度が弱くなり始め、670℃で急激に弱くなった。このとき、FCC不規則相の[001]入射ナノビーム電子回折図形が観察されたが、高分解能観察の結果、10nmサイズの粒子は規則化していた。さらに昇温すると、制限視野回折図形上で700℃で規則格子反射が消滅した。続いて降温すると、660℃で非常に弱い110規則格子反射が現れた。このとき、粒径8.5nmの粒子は明瞭に規則化していた。また、多数の粒子内にモアレ縞が観察された。これは、粒子内での不規則相と規則相の重なりによるものと推察される。 一方、粒径低下に伴う不規則化と格子歪みの影響を、球面収差補正を用いた高分解能電子顕微鏡により詳細に検討した結果、粒径約10nm以下の粒子において顕著な格子の歪みが観察されること、歪んだ粒子の割合は全体の約15%に及ぶことが判明した。したがって、格子歪みによる不規則化の影響が懸念される。しかしながら同一粒径でも、顕著に歪んだ粒子と歪んでいない粒子が観察されるなど、格子歪みと粒径との相関は系統的ではなく詳細は不明である。また、走査透過電子顕微鏡による高角散乱環状暗視野像(HAADF-STEM)観察を行ったところ、ナノ粒子内に形成された規則格子をZコントラストにより明瞭に捉えることができた。以上の結果、粒径低下に伴う規則不規則変態温度の低下と不規則化を、電子回折強度測定と実空間での高分解能像観察により明らかにすることができた。なお、本年度に購入のノートパソコンを用いて、電子顕微鏡画像の解析を行った。
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