Research Abstract |
Tbit/inch2級の超高密度磁気記憶素子への応用を目指して, 交換磁気異方性による磁性超薄膜, 磁性ナノ粒子の磁化の熱安定性の改善について検討した. 特に, 平成20年度は, 交換磁気異方性を発現させる系として, α-Cr_2O_3(0001)薄膜の高品位化, α-Cr_2O_3(0001)/Co超薄膜界面での交換磁気異方性の発現, 磁気光学カー効果による直交磁化挙動検出機構の構築について, 検討した. (1) α-Cr_2O_3(0001)薄膜の高品位化として, 従来のα-Al_2O_3(0001)基板上への直接成長ではなく, Au(111)/Ag(111)/Si(111)複合下地層による, 高配向α-Cr_2O_3(0001)薄膜の作製に成功した. 特に, 導電性下地層上での作製の成功により, 電場による磁性制御が可能になる系の創出に成功した. (2) Au(111)/Ag(111)/Si(111)複合下地層上に作製した高配向α-Cr_2O_3(0001)薄膜を利用することで, Co超薄膜との界面で交換磁気異方性を発現させることに成功した. 高配向α-Cr_2O_3(0001)薄膜により, 非磁性下地層上では磁化の熱擾乱により超常磁性となるCo超薄膜を室温で強磁性状態に変化させることに成功した. また, 交換磁気異方性とCrスピン方向の関係から, Coの磁化とCrスピンはcollinarに磁気結合していることが分かった. (3) 磁気光学カー効果を用いて, 磁場方向および磁場に垂直方向の直行磁化を同時計測する手法を構築した. 結果として, Co, Fe超薄膜, Co/Cr磁性人工格子膜の直交磁化挙動と磁化反転機構を明確にした. また, 界面ステップを導入することにより, 磁性超薄膜, 磁性人工格子膜の磁気異方性を膜面垂直方向, 膜面内方向のいずれにでも制御することが出来ることを見出した.
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