2008 Fiscal Year Annual Research Report
チタン基形状記憶合金の微細構造と変態温度におよぼす冷却速度の影響
Project/Area Number |
19760461
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松田 光弘 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 助教 (80332865)
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Keywords | Ti-Ni合金 / 透過型電子顕微鏡 / 急速凝固薄帯 / 冷却速度 / 規則度 / 逆位相境界 |
Research Abstract |
チタン基形状記憶合金の微細構造と変態温度におよぼす冷却速度の影響について、Ti-Ni合金急速凝固薄帯とバルク材を用いて調査・検討した。 1. Ti-Ni合金急速凝固薄帯の作製と透過型電子顕微鏡による微細構造解析 Ti-45at%Ni合金において単ロール式液体急冷法により3000rpmの条件にて急速凝固薄帯を作製した結果、マルテンサイト変態温度が著しく低下した。室温での組織は、アモルファス相とB2相から構成されており、一部のB2相内には逆位相境界(APB)も存在していた。これは液体急冷による冷却速度の増加に伴うB2相の規則度の低下に起因したものと考えられる。またTEM内その場加熱観察の結果、300℃程度でAPBコントラストが消失することから、加熱により規則度が上昇することでAPBが消失したものと考えられる。 2. Ti-Ni合金バルク材における逆位相境界状組織の形態および結晶学 等原子比組成のバルク材を作製し、透過型電子顕微鏡観察したところ、Ti-Pd合金と同様にAPB-likeな組織が観察された。さらにその界面は一種のledge-step状を呈しており、母相への逆変態温度以上に加熱することで、APB-likeなコントラストは消失することが確認された。したがって本組織は通常観察される積層欠陥および拡散型変態である規則-不規則変態に伴い形成されるAPBとは異なり、マルテンサイト変態時に生成したものと考えられることから、Ti-Pd合金と同様に変位型変態誘起逆位相境界と定義できる。
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Research Products
(4 results)