Research Abstract |
本研究では,無機ナノシートを,種々の複合化手法を用いて,機能性ナノスペースを有する高次ナノ構造を構築することを研究目的としている。平成19年度は,主にミクロポアを有する金属リン酸塩の合成,金属リン酸塩ナノシートからの有機複合膜の作製およびマンガン酸塩ナノシートからのレドックスアクティブ薄膜の合成を行った。以下に詳細を説明する。 層状リン酸ジルコニウムのナノシートに有機分子を化学的に修飾し,ミクロサイズのナノスペースを構築できた。また,この物質のナノシートコロイド化に成功した。この結果は,有機分子の化学修飾が,高次ナノ構造の構築へのキープロセスとして用いることができることを示している。 層状リン酸ジルコニウム,リン酸チタンおよびリン酸スズを用いて,金属リン酸塩ナノシートのコロイド溶液を作製し,電気泳動法によるポリアニリンとの複合配向膜の作製を行った。その結果,全ての出発原料において複合配向膜が作製できた。また,膜の構造を詳細に検討し,出発原料の結晶粒子径およびプロトン伝導度の違いにより,膜中の空隙率に差が生じ,結果的にレドックス活性に差が出ることがわかった。 また,酸化マンガンナノシートを用いて,電気泳動膜を作製した。このようなナノシート由来の電気泳動膜は,ナノシートが高比表面積を有するため,反応効率が高いと考えられる。実際に,これらの膜がレドックスアクティブな特性を持ち,最大でおよそ224F/g程度のキャパシタンスを有することを見出した。また,マンガン酸塩の作製方法により,ナノシートのサイズを制御でき,それによってキャパシタンスが変化することがわかった。さらに,層状酸化マンガンの一部を鉄に置き換えた層状酸化物を作製し,ナノシート化して電気泳動膜の作製を試みた。
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