Research Abstract |
γ線を用いた高性能なシンチレーショシン機能が期待されるペロブスカイト型アルミニウム複合酸化物REAIO_3(RE:希土類元素)を対象に,希土類元素をアクティベートさせ,その最適な単結晶育成条件の探索,ナノ・ミクロレベルに至る観点からシンチレーション機能を明かにすることを目的とした。平成19年度は単結晶化,シンチレーション機能特性評価試験,電子状態に関する基礎的知見を得ることを目標とした。単結晶育成化に関する研究では,Ceを0.2mo1%添加したREA10_3(RE=Y,Gd,(Gd,Y),(Gd,Lu))をフローティングゾーン(FZ)法により作製した。その結果,成長速度5mm/h,回転数20rpmの条件下において良質な単結晶を育成することが可能であり,X線方位解析では<001>に成長していることがわかった。一方,(Gd,Y)A10_3および(Gd,Lu)A10_3は同成長条件において半透明な単結晶が育成された。また,シンチレーション機能特性評価試験においては,X線励起スペクトル測定装置およびγ線発光量測定装置を構築した。また,現在市販されているGd_2sio_5の結晶を用いてスペクトルを測定し,従来報告されているデータと同じであることがわかった。今後,作製した試料を用いて測定を行う。電子状聾の解析では,YA10_3およびGdA10_3を対象に,平面波基底擬ポテンシャル法を用いて構造最適化を行った。さらに,その結果を用いて,相対論DV-XαおよびDV-ME法を用いてエネルギーレベル構造を調べた。その結果,YA10_3のバンドギャップは4.5eVであり,実験値と一致した。一方,GdA10_3のそれは約5.4eVとなった。CeをREと置換させ計算を行った場合,そのギャップ中にレベルが現われ,5d-4fによる発光が期待される結果となった。今後は他のアクティベータによる電子状態の変化を調べる予定である。
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