2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760475
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
山田 直臣 Kanagawa Academy of Science and Technology, 重点研究室 透明機能材料グループ, 研究員 (50398575)
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Keywords | 二酸化チタン / 透明導電体 / スパッタリング / シード層 / アナターゼ / 多結晶薄膜 |
Research Abstract |
Nbをドープした二酸化チタン(TNO)多結晶薄膜の透明導電性を実現することに取り組んだ。TNOの多結晶薄膜を作製するには2つの合成ルートがある。1番目のルートは、加熱した基板に気相法で直接多結晶薄膜を基板上に形成する方法であり、2つめは、非加熱の基板上に気相法でアモファス薄膜を形成し、それをアニールして結晶化させる方法である。本年度は、1番目のルート(以下、ルート1)で電気伝導性の高い多結晶薄膜を作製する手法の開発に取組んだ。 昨年度までの研究により、還元されたアナターゼ相のTiO_2を作製することが、高い導電性を得るためのキーポイントであることがわかっている。ルート1において、還元アナターゼを得る目的で、成膜中の酸素分圧Po_2を低くすると、高抵抗相であるルチル相が生成することがわかった。アナターゼ相は、高いPo_2の時にしか得ることができない。高いPo_2で成膜したアナターゼ相は、還元不足のために高い電気伝導性を示さない。すなわち、ルート1では、還元されたアナターゼ相を得ることが困難であることが判明した。 この困難を解決するために、2段階成膜法を開発した。具体的には、(1)ガラス上に高いPo_2で薄いアナターゼ相(以下、シード層)を形成し、(2)その上に、低Po_2条件で成膜(以下、トップ相)をする。シード層上へ、低Po_2条件でTNOを成膜しても、ルチル相が生成しないことがわかった。これは、トップ相がシード層に対してエピタキシャル的に成長することによる。この手法により、ルート1によって、抵抗率1×10^<-3>Ωcmの抵抗率を有するTNO多結晶薄膜を得ることに成功した。本研究により、実用的なルート1で初めて透明導電性のTNO多結晶薄膜をえることができるようになった。以上により、TNO薄膜の実用化を視野に入れても良い状況になってきた。
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Research Products
(18 results)