2007 Fiscal Year Annual Research Report
次世代超伝導線材の応力効果と内部ひずみの直接間接測定によるひずみ特性決定要因解明
Project/Area Number |
19760476
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菅野 未知央 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (30402960)
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Keywords | YBCO / 臨界電流 / ひずみ特性 / 放射光 / 薄膜 / 内部ひずみ |
Research Abstract |
YBCO線材のIc-ひずみ特性をB=0-10Tの磁場範囲、77K、70K、60Kの温度で測定した。各温度について、大気圧液体窒素、減圧液体窒素、ヘリウムガスフローの冷却方法を採用した。77K、70Kにおいて、B=0.2-0.4T以下の磁場では磁場の増加とともにIcの負荷ひずみによる変化が小さくなる傾向が観察された。一方、これ以上の磁場では磁場の増加とともにIcのひずみによる低下が大きくなることが明らかになった。60KではB=1T以上でのみ測定を行ったが、上記の高磁場での特性が観察された。Ic-ひずみ特性の温度、磁場による影響を定量的に評価するために、測定データをピークひずみと曲線の曲率をパラメータとする2次関数でフィッティングを行った。その結果、低磁場ではIc-ひずみ曲線のピークが高ひずみ側にシフトし、ある磁場で極大をとることが明らかになった。従来の金属系超伝導線材では磁場によらず、超伝導体のゼロひずみでIcが最大となることが報告されているが、今回観察された磁場によるピーク値のシフトはY系線材に独特の性質である。一方、高磁場では、磁場の増大とともに曲線の曲率が大きくなることが明らかになった。さらに、この傾向は高温ほど顕著であることが明らかになった。つまり、高温、高磁場ほどIcがひずみに敏感になることを示している。これらの結果から、磁場範囲によってIc-ひずみ特性を決定する要因がことなることが示唆された。 放射光を用いてひずみ負荷状態で線材中のYBCO、DyBCO膜の格子定数測定を実施した。その結果、線材中のYBCO膜の残留ひずみおよび膜の破断ひずみの直接測定に成功した。さらに超伝導線材内部での破壊の起点がバッファー層にある可能性が示唆される結果を得た。
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